二人目・三人目の妊娠中、上の子にイライラしてしまうことってありますよね。
昼間イライラをぶつけてしまって、夜寝顔に向かって涙ぐみながら謝る…なんて経験は誰でもあるのではないでしょうか。
妊娠中に上の子に対してイライラしてしまうことに罪悪感をおぼえているママさん、孤独に悩まないでくださいね。
同じ思いをしているママはたくさんいます。
「自分だけおかしいのかな」「母親として失格だな」なんて悩む必要はありません。
どうして妊娠中に上の子にイライラしてしまうのか、またどうやってイライラを上手にかわせばよいのかを一緒に考えてみませんか。
妊娠中に上の子にイライラしてしまう理由
妊娠中に上の子に対してイライラしてしまうのはどうしてなのでしょうか。
理由を知って、冷静になる時間を作ってみましょう。
つわりでつらい時に幼児の育児はキツい
妊娠の初期にやってくるのがつわりです。
つわりは全妊婦さんの80%に起きる体調不良で、吐き気や嘔吐・ニオイへの過敏・眠気・だるさなどさまざまな症状が出ます。
特に吐き気が強いママは多く、ひどくなると起きられないほど体力が落ちてしまうことや、通院や入院して点滴をする必要が出ることもあります。
そんな状態のママにとって、手のかかる上の子のお世話はとても大変ですよね。
トイレトレーニング中だったり、ちょうど幼稚園や保育園への入園にかぶってしまったりすると、涙が出るほどつらい…なんてこともあります。
そうでなくてもすぐにお味噌汁をひっくり返したり、お菓子を食べたベトベトの手であちこち触ったり、上の子のお世話は本当に大変です。
女の子の延々と続くおしゃべりに付き合うことも、男の子の「外に遊びに連れて行って」攻撃に耐えることも、妊娠初期のママにとっては厳しい修行に他なりません。
こんな状態では、「この子を妊娠していたときはもっと楽だったのに…!」なんてイライラしてしまっても、仕方がありませんよね。
ホルモンバランスがくずれてイライラしやすい
妊娠中は女性ホルモンが劇的に変化します。hCGやエストロゲン・プロゲステロン・hPLなどのホルモンが40週の間に大量に分泌されます。
特に妊娠初期は胎盤を形成するためのホルモン、後期は出産を促し母乳分泌を促すためのホルモンがたくさん出ます。
ホルモンバランスは、体調にも大きな作用を及ぼしますが、心にも影響を与えます。
同じようにホルモンバランスが劇的に変化する思春期や更年期には、心が揺れやすいと言われていますよね。
妊娠中も同じです。ホルモンバランスが劇的に変化し続ける40週の間は、心がとても繊細になり、揺れ動きやすい状態になっています。
妊娠前は許せていたことが許せなくなったり、なんとも感じなかったことが引っ掛かったり、そんな変化は珍しくありません。
ホルモンバランスのせいでイライラしやすくなる期間なのです。
体力的に低下しているため、身体が思うように動かない
妊娠中は、体力的にもつらい時期です。
妊婦さんは胎盤にたくさんの血液を送り出すため、全身の血液量が通常の1.4倍になると言われています。
成分が濃いまま血液量が増えるわけではないので、息切れや息苦しさ・貧血なども起きやすくなります。
「妊婦さんは鉄分不足になる」とよく言われますが、こういった理由があるのです。
また血液が多くなるのは出産時の出血に対する備えとも言われています。
また妊娠初期には微熱や微小な出血が続くママも少なくありません。
また妊娠すると子宮を刺激しないように大腸の動きもゆるやかになるため、便秘気味にもなりますよね。
妊娠中期になって安定期に入っても油断は禁物です。
このころは血圧に変動が起き始める時期なので、妊娠高血圧症候群の発症にも気を付けなければなりません。
妊娠後期になると、大きくなったお腹が下半身の血管を圧迫し、血行が悪くなるためむくみが出始めるママもいます。
女性にとって、妊娠は人生の一大イベント。
体力もかなり削られます。
そんな時に上の子のお世話もしなければならないと、どうしてもイライラしてしまうものです。
上の子の赤ちゃん返り・イヤイヤ期・反抗期
上の子が大人しく良い子でいてくれれば、これまでご紹介した体調不良やブルー状態でもなんとかやっていけるかもしれません。
でも、上の子だってまだまだ甘えたい年頃ですし、成長段階で難しいステップをのぼっている最中だったりします。
ママが体調不良で構ってくれない状態が続き、パパをはじめ周囲の大人がお腹の赤ちゃんの話題でもちきりだったりすると、やきもちを焼いて赤ちゃん返りをしてしまうことがあります。
そうなると、一度おさまっていた後追いや夜泣きが再開したり、わざとダダをこねてママを困らせたり、大騒ぎが起きることもあります。
また2歳~3歳ころのイヤイヤ期や、幼稚園に入ってからの反抗期などとかぶってしまうと、ママは本当にイライラさせられてしまいますよね。
妊娠中に上の子にイライラした時・しそうな時の対処法
今は妊娠中でイライラしてしまっていても、本当は可愛い上の子。
長男の下に双子を妊娠した私にも経験があります。
長男がおずおずと甘えてくると「ああ、酷いことをしちゃったな」と反省して涙が出る…そんな気持ちを味わっているママはたくさんいますよ。
少しでもママ自身、そして上の子の気持ちが傷つくことなく、幸せなマタニティライフを送れるように、対処法をマスターしましょう。
自分が上の子を妊娠していたときよりも、年齢を重ねていることを思い出す
まずは、ママ自身が上の子を妊娠していたときよりも年齢を重ねていることを思い出してみましょう。
あの頃は若かったから平気だったことも、今はキツく感じる年齢にさしかかっているのです。
ましてや上の子を出産してからの数年間は、育児に家事にお仕事にと追われ続ける毎日でしたよね。
疲れが溜まっていても仕方がありません。
イライラするほどつらいのは、年齢による体力低下のバロメーターかもしれません。
その後の妊娠・出産・育児でも「無理は禁物よ」という、自分の体からのメッセージと受け止めてみませんか。
ホルモンバランスのせいだと考え、自分を責めない
先ほどもご紹介したように、イライラするのはホルモンバランスが急激に変化するためでもあります。
人間のホルモンは、本当に微量しか分泌されません。
それでも大人一人の体を大きく変化させるほどの威力を持っています。
そんなホルモンが何種類も短期間に増えたり減ったりするのです。
妊婦であるママが、その威力に立ち向かうことは難しいですよね。
そこで「私はホルモンバランスがすごく変化しているから、イライラしちゃうらしいの」と、家族にも説明してみましょう。
家族に説明することで自分も納得しやすくなりますし、家族も理解してくれることで少し気が楽になりますよ。
特にパパには「上の子にイライラしてしまう」ことをきちんと説明して理解してもらい、なるべく上の子とコミュニケーションをとってもらうように協力してもらいましょう。
お膝抱っこで上の子の気持ちを受け止めてあげる
お腹が大きくてつらいのに「抱っこ!抱っこしてくれなきゃイヤ!」と騒がれると、本当に困ってしまいますし、イライラを通り越して泣けてくることもあります。
そんなときは、ママが座り、膝の上に子どもを座らせて、そっと抱きしめてあげましょう。
そして、大きくなったお腹に一緒に触れてみましょう。
「○○ちゃんもね、ちょっと前までここにいたんだよ。その時はね、パパもママももっともっと嬉しくて、大騒ぎで、早く○○ちゃんに会いたかったの」と、上の子を妊娠していたころのお話もしてあげましょう。
お腹が張ってきたらすぐに降りてもらい、上の子の妊娠中のエコー写真や録画、赤ちゃんだったころの写真を見て、たくさんお話をしてあげましょう。
上の子は、今まで一人っ子という家庭の「主人公」でした。
でも、下に赤ちゃんが生まれることで、その地位が危うくなることに不安をおぼえてしまうのです。
だから「下に赤ちゃんが生まれても、あなたは私たちの大切な子どもよ」ということを、常に伝えてあげるようにすると、気持ちが落ち着いてきますよ。
またお手伝いを積極的にしてもらい、「やっぱり○○ちゃんはすごいね。赤ちゃんじゃ絶対できないよ。ママ本当に助かっちゃった」と、頼りになっていることを伝えてあげましょう。
上の子は甘やかされることやほめられることも嬉しいものですが、何より「両親の役に立っている。感謝されている」ことに喜びを感じます。
上の子は赤ちゃんができたことで多少なりとも寂しい思いをしています。
パパや家族にも協力してもらい、上の子の成長や気持ちの揺れを認めてあげましょう。
赤ちゃんが来ることを説明し、一緒に楽しく待てる気持ちを盛り上げる
赤ちゃんがやってくることをテーマにした絵本はたくさんあります。
命がどこからやってくるのか、どうやって赤ちゃんが育っていくのか…年齢に合わせていろいろ出版されています。
中には仕掛け絵本になっているものもあります。
そういった本を図書館で借りたり、購入したりして、上の子に「赤ちゃんが生まれること」を説明してあげましょう。
この時も、上の子が生まれた時の話をしてあげたり、アルバムを見せる良い機会です。
自分も愛されて生まれてきたんだということを実感させてあげましょう。
こうして上の子が赤ちゃんだったころや妊娠していたころを振り返ると、ママ自身にも上の子に対する愛おしさが湧きあがってくるかもしれません。
そんなときは素直に「いつも怒っちゃってごめんね。ママは今、一生懸命なんだ。だけどあなたのことは本当にとっても可愛いの。大好きだよ」と伝えてあげましょう。
子どもと一時的に離れてみる
もしつらさが軽減されず、ママも精神的・体力的に限界を感じてしまったら、子どもと一時的に離れてみるという方法もあります。
たとえば、まだ入園前ならプレ教室に通わせ、昼間の少しの時間でもママがほっとできたり、横になって休める時間を作ってみましょう。
もっと小さな子でも、託児所を利用すれば自分の時間が作れます。自治体を介してベビーシッターさんを紹介してもらうことも可能ですよ。
もちろん、両家のご両親が育児に協力的であれば、事情を話して一時預かってもらうことはとても有意義です。
その際は妊娠中でイライラして子どもに当たりがちになってしまうこと、上の子が寂しい思いをしていることをきちんと伝えましょう。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんになるんだからもっとしっかりして」「赤ちゃん楽しみね」などの言葉がけをされると、上の子はますます心を閉ざしてしまう可能性があります。
親族に預かってもらう場合は「上の子ファースト」で思い切り愛情をかけてもらえるよう、パパと一緒に話してみると良いのではないでしょうか。
まとめ
妊娠中は、体調もホルモンバランスも崩れがちです。
そんな状態で、上の子のお世話を完璧にしようとすれば、イライラしてしまうのは当然といえます。
イライラするのはホルモンバランスのせいでもありますし、体調不良のせいでもあります。
そして、そんな自分にいっぱいいっぱいになってしまっているからともいえます。
そんな時は、完璧主義をやめましょう。
家事はできるだけ手を抜き、上の子と一緒に昼寝をしたり、上の子を預けている間に休んだりして自分をケアしましょう。
さらに周囲の人々につらさを伝えたり、パパや両親・託児所などに育児を手伝ってもらうなどして、上の子を「可愛いな」と思える心の余裕を少しでも作れるよう、協力してくれる人やサービスを探してみてはいかがでしょうか。